「お酒は百薬の長」ともいわれています。ここでは、日本酒がもたらす健康作用について紹介します。
骨粗しょう症や発がん率を下げるとしている専門家もいる
秋田大学の名誉教授で医師でもある滝澤行雄氏のまとめたところによれば、
1.日本酒で2~3合程度の飲酒は、生存期間を3パーセント延長させる。また、冠動脈心疾患の死亡率のリスクを下げさせる
2.飲酒をしている群は、肺がんや胃がんなどのがんになる確率が低い。なお、飲酒が危険要因となる肝硬変や肝がんでの死亡率は焼酎の消費量が多い地方では高いが、日本酒(清酒)を好む地方では低い
3.アメリカの研究において、中程度の飲酒が骨粗しょう症の罹患率を低下させることがわかった
4.海外の研究では、飲酒している人間の方がそうではない人間に比べて認知症になる確率が30パーセント程度低かった
5.日本酒のなかに含まれている成分が肌に潤いを与え、血行を促進させ美肌にする効果がある
ということでした。
「飲めば飲むほど良い」というものでは決してない
ただ、上で挙げた話だけを見て、「日本酒(お酒)は飲めば飲むほど良いのだ」と考えるのは間違いです。
上でも述べたように、お酒は肝硬変や肝がんの原因となります。また、すい臓を患う可能性も高く、循環器疾患を患うリスクもあります。
過ぎた飲酒は生活習慣病にも関わってきます。高血圧や高脂質症、高血糖との関係も指摘されています。
また注目したいのが、「アルコールは認知症を引き起こすリスクを上げる」というものです。上では、「飲酒をしている人間の方がそうではない人間に比べて認知症になる確率が低かった」としましたが、アルコール依存症や大量飲酒を行う人の場合、認知症になる確率が高いとされているのです。
また、お酒が弱い人が飲むことで、食道がんのリスクがあがるとされています。
日本酒であれほかのお酒であれ、「飲みすぎ」には多くの健康リスクが伴います。節度ある飲酒を心掛けてください。
出典;
滝澤行雄「お酒の健康と医学」
厚生労働省「アルコールによる健康被害」